保護観察中
しぼり出す「さよならですね」の対応は精いっぱいの他人行儀で (伊藤真也)
右を指すチッコチッコの点滅がシンクロしたから不安じゃないね (伊藤真也)
若者は鍵を鳴らして不機嫌にすり足歩行でコーヒーを運ぶ (伊藤真也)
枝豆のカラを誰かの取り皿に置いてしまったような手違い (伊藤真也)
前かがみ谷間を記憶するボクを正しい姿勢の犬が見ている (伊藤真也)
持て余す東京行きの禁煙席 小指でなぞったグラビアアイドル (伊藤真也)
惚れるなよ 夕立にまみれて香る湯上がり肌のアスファルトには (伊藤真也)
もどかしくもつれたコードほぐす君の目 吊革の輪越しに見たい (伊藤真也)
7月に紫色をたぎらせて雨に飛び立つスズメバチ 無敵(伊藤真也)
おまえが消えた朝だった ひとまずはコーヒー沸かす寝耳の水で (伊藤真也)
助手席のキャベツ畑に見とれててモンシロチョウをはねてしまった(伊藤真也)→改作前
左手のキャベツ畑に見とれててモンシロチョウをはねてしまった(伊藤真也)→改1
獲れすぎて畑で泣いてる さあゆこう大量投棄の恋を拾いに(伊藤真也)
開け放ち手すり足すり舞うハエを置き去りにする高速道路(伊藤真也)→改1
孫泣かし「なぐごはいねが」と見得を切る父の目も背も反省の色(伊藤真也)