山道ではばかりする友そのモノをサイドミラーでそっと確認

「ごめんね今日はアノ日なの」絹ごし豆腐揉みしだく夏の夜の夢

ひっひっふうう泳いで来いよ踊ろうぜ俺の手のなか産婆のリズムで

色レジ子小銭をかくし野口出しコンビニエンスなスキンシップを

うす切りのチーズを貼ってあげたいの仔牛がねぶる腫れた乳首に

気が触れたいほど青くて空に吐く ハレホロヒレハレハレホロヒレハレ

なあいいか?ウツになるなよ大丈夫ひじきで箸が汚れちゃっても

ワレワレハ ガリガリ君の棒なのかくちびる漏らすハズレよハズレ

住宅街で迷うつむじに降り注ぐGPSの緯度経度

丸刈りにムースなでつけ目をほそめ 夏の背伸びを0.5センチ

ふたりがもう目の合図することはない なすすべも夏どうしようも夏

寝ころんで返事を待ってる受け取るのわたしアンテナ 窓、空、素足

透明なワイングラスの液体をカマトトぶって傾けている

ラブのサインさ放るのさ水平に飛んでったっきりのフリスビー

はにかむキミは指折りの空間デザイナーだねってキザに決めたい

ねねねねね このあと二人でお茶をしよ(それが済んだらイチャイチャもしよ)

「ごめん無理」失意で冷えたほほを打つ はためくパーカー毎秒7回

JAのあのコのカレは支店長?なみだをぬぐいに農道飛ばすぜ

アスファルトゆらゆらゆらら蜃気楼 犬が寝そべる死体みたいに

ワイパーよそぼ降る町道ぬぐっても ぶりっと泣くな涙がうつる

手のひらに君が残したipod ひとりの地下鉄UAが痛い

立ちすくむ破裂まぎわの心臓にうぶ毛さえありゃ君と話せる

「これでいい、これでいいのだ」くりかえす てことはつまりこれじゃよくない

「降る降る」と傘を握らす君の手が触れた途端に脳がふるふる

傘の赤 黄色のゴム長 あじさいの青に眩んで目を片つむり

太ももをシアンに照らすスターマイン やぶ蚊と競う緊張の夏

幸せだらけで哀しい冗談を言えない僕を君も悲しい?

甘たるい会話の腰を折るハエを置き去りにする高速道路

振り向いた途端にいやがらせのキス 路上にはじけたぬるいサイダー

どうにでもできるじかんがありすぎて きょうもいちにちなにもできない

お手々とかつなぎたい子を探す目がふらりちらりと不埒がちの夏

出くわした入道雲にふたりして遠近感の狂ったドライブ

許せないだけどやっぱし許しちゃお 猫なで声を奏でるきみを

大好きなあの子の笑顔をグラス越しゆらり泳がせブサイクにする

メロン味立ったまんまでひと息にすすれば夏の残りは2秒

歯を出してジョッキ掲げた小麦肌 褪せても褪せてもキャンペーンガール

オレはもう明日死ぬけど泣くからねナゼナゼナゼ?って七年後の今日

モールスをトトトツートト ウインクで「あなたとならば死んでもいいの」

うえええい邪悪をはらう祈祷師が四千円の領収書を切る

隠し事したくないから言いますね「嘘をつきつつ生きております」

最初はグーそのつぎグーでさらにグー「ガンコでねぐで、ほが知らねんだ」

ブラウスの上からわしっとつかんだら気持ちイイですいい気持ちです

組長を乗せてすっ飛ぶ黒塗りが頭を垂れた稲穂を映す

ネクタイを揺らすのやめて見つめ合い隣のジョンと吠えあうワウン!

童貞をなくしたボクのまたぐらに鼻をくんくんとなりのジョンよ

目を見張るほどにびっしり貼られてる貼り紙禁止を伝える貼り紙

愛してて愛されなくても愛想笑いしないで生きてくお猿のアイアイ

手のひらの君のにおいは消えたけど未来永劫 未来へGO!

バリバリと度肝抜かれるバイブにも膝で寝息のメス猫は初老

オレンジの風船を追うフリをして君に近づく 深呼吸する

ぐびぐびと「コーラー」飲み干すタヅさんを息を呑みつつ孫が見守る

拒否された十円玉の不憫さに「お前はやれる」と強くねじ込む