短歌
手のひらの君のにおいは消えたけど未来永劫 未来へGO! (伊藤真也)
愛してて愛されなくても愛想笑いしないで生きてくお猿のアイアイ (伊藤真也)
目を見張るほどにびっしり貼られてる貼り紙禁止を伝える貼り紙 (伊藤真也)
童貞をなくしたボクのまたぐらに鼻をくんくんとなりのジョンよ (伊藤真也)
ネクタイを揺らすのやめて見つめ合い隣のジョンと吠えあうワウン! (伊藤真也)
ネクタイを揺らすのやめて見つめ合い隣の犬と吠えあうワウン! (伊藤真也)
組長を乗せてすっ飛ぶ黒塗りが頭を垂れた稲穂を映す(伊藤真也)
ブラウスの上からわしっとつかんだら気持ちイイですいい気持ちです (伊藤真也)
最初はグーそのつぎグーでさらにグー「ガンコでねぐで、ほが知らねんだ」 (伊藤真也)
隠し事したくないから言いますね「嘘をつきつつ生きております」 (伊藤真也)
うえええい邪悪をはらう祈祷師が四千円の領収書を切る (伊藤真也)
モールスをトトトツートト ウインクで「あなたとならば死んでもいいの」 (伊藤真也)
オレはもう明日死ぬけど泣くからねナゼナゼナゼ?って七年後の今日 (伊藤真也)
歯を出してジョッキ掲げた小麦肌 褪せても褪せてもキャンペーンガール (伊藤真也)
メロン味立ったまんまでひと息にすすれば夏の残りは2秒 (伊藤真也)
大好きなあの子の笑顔をグラス越しゆらり泳がせブサイクにする (伊藤真也)
許せないだけどやっぱし許しちゃお 猫なで声を奏でるきみを (伊藤真也)
出くわした入道雲にふたりして遠近感の狂ったドライブ(伊藤真也)
お手々とかつなぎたい子を探す目がふらりちらりと不埒がちの夏 (伊藤真也)
どうにでもできるじかんがありすぎて きょうもいちにちなにもできない (伊藤真也)
振り向いた途端にいやがらせのキス 路上にはじけたぬるいサイダー (伊藤真也)
幸せだらけで哀しい冗談を言えない僕を君も悲しい?(伊藤真也)
「降る降る」と傘を握らす君の手が触れた途端に脳がふるふる(伊藤真也)
傘の赤 黄色のゴム長 あじさいの青に眩んで目を片つむり(伊藤真也)
甘たるい会話の腰を折るハエを置き去りにする高速道路(伊藤真也)→改作前
太ももをシアンに照らすスターマイン やぶ蚊と競う緊張の夏 (伊藤真也)
「これでいい、これでいいのだ」くりかえす てことはつまりこれじゃよくない (伊藤真也)
立ちすくむ破裂まぎわの心臓にうぶ毛さえありゃ君と話せる(伊藤真也)
手のひらに君が残したipod ひとりの地下鉄UAが痛い(伊藤真也)
ワイパーよそぼ降る町道ぬぐっても ぶりっと泣くな涙がうつる(伊藤真也)