題詠2009
あの日から念じ続けた「大好き」がリアス式を伝っていつか
もうやだよ鈍い痛みに慣れるのは知らんぷりして明日、自首しよう
あふれ出たしずくが深く染み込んでほどけない縄 バイバイハニー
幸せを運んでくれるコウノトリ 月明かりのした妊娠をする
言い訳を探して歩く 砂利道にぐらめきながらごめんごめんね
ボクたちは衝突したねあの角で 朝の出逢いはスローモーション
「日だまりに丸まる猫の寝息に似た」語るソムリエ注がれるワイン
夜空見て胸がざわざわ騒ぐのは災いなのか ペルセウス座は
僕たちは言葉少なになってゆく刻一刻と 夕闇の泥警
「わさび効きすぎなんじゃねえ?」ツンとくる記憶飛べよ 頬張って涙
校長の顔に牛乳吹き出して「剣幕・オ・レ」ひとときの午後
郷に入り従えば従うほどにすここん常識だるま落とし
真っ先にバンドエイドをくれたよね あれからずっと片思い係
血まなこでミリオンクリック トラップをすり抜け無料のあの子を拾いに
物言わぬマシンがせっせこせっせこと日々邪(よこしま)なメールを寄越す
広すぎて何も言えない青なのになにがなんでも終わる夏なの?
草陰にしゃがんでじっと眺めつつすみれひとひらべろに乗せてみる
丹念に編み込まれてる夏マフラー 見え隠れする縦横の意図
伊藤です伊東じゃないです厭うでもないです大変痛うございます
ずっしりと一目惚れの→♥へと刺さったまんま引っこ抜けない※→:矢
いまここで振り向けばきっといなくなる もうロンドンのどこ探しても
立ち眩みしたあの日の可愛さは思い返せば序の口でした
無礼講です さあ飲んで酔いどれて冠二郎を胴上げしよう
普通ではいられなくなる笑顔から目を背けても世界は揺れる
会いたくて虹のてっぺんからずるり すり切れながらすべり降りてく
マジックで黒のまだらをつながれた仔牛をじっと見やる母牛
くしゃくしゃにまるめた手紙ポケットに押し込んでみる意味ありげに
コンビニが失くしたしっぽ「エンスストア」カラカラ枯れて砂まじりの風
だったのか あの日あのとき既にもう手に入れていた空しい手触り
こうやって並べてみると案の定 半透明のほうがやらしい